極めることでオンリーワン

ファインセラミックは、自動車の排ガスのろ過フィルターや電子基板などさまざまな製品に使われています。宮﨑鉄工は、そのファインセラミック用真空押出成形機の設計・製造・販売を行っています。昭和33年（1958年）に国産の真空土練機の製造・販売から創業し、その後セラミック成形の技術的なノウハウを生かし、真空押出成形機を開発。電子部品や自動車産業などで需要が伸びているファインセラミックの業界に参入し、高く評価される真空押出成形機のメーカーになりました。「セラミックの業界はニッチな市場ですが、鹿島の田舎で大手企業と渡り合うためには、技術力で負けないようにしないといけない。そのために大切にしているのは“極める”こと。他のメーカーではなく、弊社でしか作れないオンリーワンの製品づくりを追求しています」と宮﨑社長。同社の真空押出成形機は、耐久性と独自の精密な製造技術で評価され、現在は真空押出成形機に関するさまざまな特許を取得しています。また、取引先の要望に開発段階から積極的に応えていることで高い信頼を得ています。

技術者が集う工房

同社は研究実験室を設け、大手企業からの研究員がそこで成形テストを行っています。「弊社は、技術職人がいる開発型の工房だと思っています。取引先が出張してまで弊社で実験してもらっているので、いかに最適な製品の提案を行えるかが大切です。セラミック原料の粒子は大きさや接着剤の配合など取引先ごとでバラバラなので自分たちのこれまでの経験と実績に基づいて伝えないといけません。弊社の社員はほとんどが職人。だからこそ技術の説明にも重みがあります」と宮﨑社長。人材育成でも研究開発に重きを置き、60年にも及ぶノウハウを継承、さらに発展させています。これからは、セラミックだけではなく、樹脂系との複合材など広い意味での“粘土”という新しい素材に挑戦していく宮﨑鉄工。鹿島からさらなる粘土成形の極みを目指していきます。

出典：佐賀さいこう企業ガイドブック